忘れ物はないね?

『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の 中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ

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2012年03月24日(土)

毎年、春になると1歳年をとるのですが、今年は7年ぶりのレコーディング真っ最中。
仕事も録音も色々バタバタしていていますが、いまやTwitterやFBのおかげで、普段なかなかお会いできないでいる遠くや近くのいろんな人たちからおめでとう!って言ってもらえて、とてもうれしいです。
ありがとうございます。

特にこういう音楽を作る暮らしをしていると、曲って、ほんとにいろんな人たちがかたちを作り熱を出し味をつけ光を与えててできていくんだなあ、とつくづく思います。
どれもこれも、みんな目には見えないものなのに、曲がどんどん息をして生き出すさまがはっきりと見えるから不思議。
こんなふうに一緒に音楽を作ってくれる人たち、そしてそれを聴いてくれる人たちと出会ってこられて、これからも会ったりすれ違ったり手を振りあったりしていけるのは本当にしあわせです。

年を重ねていくと、つらいことやうれしいことや、それはほんとにそれぞれに色々増えるのですが、ともかく、そういうことをどれもこれもぜーんぶかかえて、できるかぎり軽やかに、脱力していきたいです。

アルバムもきっときっといいのができると思います。
早くできあがりたいなー。

みなさーん、そこでそうしていてくれて、ほんとにありがとう!

そしてこの1年こそ、食べてはいけないものを食べたり、いろんなものにぶつかったり、忘れものをしすぎたりしないように。
自分に喝!

[link:1273] 2012年05月06日(日) 16:08


2012年05月06日(日)

ああ、またまた更新が滞ってしまいました。
Twitterなどではぼそぼそと途中の様子をつぶやいたりしていますが、今、アルバムを作っています。
前回のアルバム「おせっかいカレンダー」からあれよあれよと月日が過ぎてしまって、7年ぶりのリリースです。

そして、こうやってちゃんと公に文章で書くのは初めてなんだけど、アルバム、2枚組です。
発売やそれに関するライヴのことなんかは、また近く、ちゃんとお知らせできると思いますが、とにかく、今は作っています。
といったところで、アルバムの録音日記などはまた近くアップしていきたいと思っていますが、今日は最近、どこへも行かずにアルバム作りの日々を送る私の、ささやかな楽しみ、ヘブンの話を。

最近は連日帰宅がめっぽう遅く、買い物もままならない日が続いて翌日の朝に食べるものがナイ!ということがよくあり、文字通り「コンビニエンス」なストアに頼る、ということが多くありました。
コンビニの食品はたいそうおいしくなったということとは別次元の問題として、「こんなにも家で料理ができず連日コンビニの食事」ってのはいかがなものか、という思いを日々持ち続けながら過ごしていたそんな中、我らのヘブンはまさに雷雨の中の食堂、暗闇の中の灯と言っても過言ではないほどの威力を発揮したのでした。(ヘブンのことがわからない人は2008年11月24日12月23日の日記をご参照ください。)
話題の塩こうじももちろんレジ横に山積み。
涼しい風が吹き抜けるような桃のジュース、インスタントとは思えない弾力の麺ときゃべつや具が魅力の他ではまったく見た事のない富士宮やきそば、成城石井ルートらしい外国のかわいいお菓子、地方の、これまた地元でしか見られないだろう商店のお菓子やおせんべい、瓶詰めの佃煮、などなど魅力あふれるラインナップで夜中の疲れた私たちを迎えてくれました。


ヘブンはうちからはそれほど近くではないし、スタジオからの通り道でもない。
それよりも近くて便利なコンビニはたくさんあるのだけれど、やっぱりなぜか吸い寄せられるようにヘブンへ行ってしまう。
長時間におよぶ録音のお楽しみである「おやつ」もずいぶんヘブンで仕入れました。
ヘブンに行くと普段あんまり買わないものまでがキラキラと光を放って見えるので、つい5千円ぐらいつかってしまうこともしばしば、うっかりするとまさかの万越えになってしまうこともあるので大変に注意が必要です。
旅先のお土産店で「おいしいと評判のおせんべいや和菓子」を買っている気分になってしまう。
「あ、おいしそう」と思ってカゴに入れるが、よくよく見てみるとおせんべいやお菓子、インスタントのものまでがそれぞれ千円ぐらいしちゃってたりするのです。

しかし、実際には高級品をゴロゴロ売っているくせに、ヘブンにはそういう「ウチは高級品を扱っておりますので」という雰囲気がまったくない。
ヘブンは何を隠そう、○ブン○○ブンの中の、とある一つの店舗なのです。
そして、店中に「おにぎり100円」だの「店長のおすすめ!」だのといった手描きのチラシがビラビラ、ベタベタと貼られているし、現にそのコンビニの普通の商品も普通にたくさん売っています。
その、気のおけないフランクすぎる感じが徹底的に客を油断させるのでしょう。
街灯も少ない畑の中にポツンとある、というのも、まさかそんなとこで成城石井の白トリュフオイルを売っていると思いませんから。
商売のありかたとして見ても、ものすごく感心してしまう。
店長のU田さんはとにかく、自分でいろんな土地に足を運び、自分が「おいしい、仕入れたい」と思ったものを直で仕入れてくるようです。
まさに独自のルートと思われます。
そして、仕入れるばかりじゃなくて、自分がそれを食べてみて飲んでみて思ったことを書いたPOPが商品に必ずついている。
さらに、それをカゴに入れてレジへ行くと、レジのおばちゃんまでが「わあ、これ最後の一個、よかったわぁ、買ってくださってありがとうございます。私も食べたけど、ほんとにおいしかったですよぉ〜」なんて、まるでおばちゃん同士の井戸端会議のように言うのです。
アルバイト全員が試食して、商品知識を徹底的に共有しているのならすごいし、あるいはたまたまそのおばちゃんがそれを自分で買ってみて食べただけなのかもしれないけど、それならそれでまたすごい。

そして、先日はまた私たちに大きく謎をなげかける出来事がありました。
最近になってこのコンビニチェーンはおにぎりがリニューアルしたらしいのだけど、ある日ヘブンへ行くと『33年(だったかな?)かけて、やっとおにぎりできあがりました。○ブン○○ブンジャパン』的なうたい文句(正確な文言は失念)のノボリが立っていました。
(ヘブンへ行く前にたくさんそのコンビニチェーンの前を通ったけれど、他の店舗にはどこにもそんなノボリは立っていなかった。)
そして、その横に「こだわりの米農家の人と、そのコンビニのユニフォームを着た、どうみてもおにぎりリニューアルの開発者のような人」の2ショットの写真が大きく引き延ばして貼ってある。
「へぇ〜」と思って通りすぎる時に、その写真に写った人の顔としている名札を見て、『えぇっ?』と。
どうみても店長のU田さんなのだ。
着ているユニフォームの名札にも「○○店店長U田」と書いてある。
これはまるで、U田さんがおにぎりのリニューアルの開発者のようではないか!

ここでいろんな推測が頭をよぎります。
推測1. U田さんが開発したのか?というか、だとしたらU田さんは何者?本部のすごい人?
あるいは.........
推測2. U田さんのことだから、おにぎりがリニューアルされる、との情報を聞きつけ、店舗としてその商品を置くからには、とその米農家の人を勝手に訪ねていき、開発にまつわる苦労話やこだわりの話を聞いてきたのだろうか?
U田さんならやりそうでもある。

気になって次の日もよーーーーく写真を見たけれど、やはり米農家の方とU田さんが腕組をして、『がんばりました!』的な様子で写っています。
あまりにも謎だったので、深夜、帰宅してからネットでこの「おにぎりリニューアル」に関する話題を検索してしまったほどです。
開発者の話、とかで U田さんが登場したりしてないだろうか、と思ったけれど、それは見つからず、今のところ推測2の線が濃いと思っているのですが、未だ謎は残ったままです。
聞いてみる勇気がなかなか出ないのだけど、聞いてみるべきでしょうか。

しかしどちらにしても、 U田さんの行動力と、店作りへの情熱(?)には目をみはるべきものがあり、日々感心し、見習うべきところがあります。
今後もヘブンから目が離せない私です。

[link:1274] 2012年06月08日(金) 21:16


2012年06月09日(土)『蟻と梨』日記 1 ◆2枚組の巻◆

7年ぶりの4thアルバムとして、『蟻と梨』という2枚組のアルバムを出すことになりました。
なりました、というか、長いことぼんやりと考えていた構想は、どうしても2枚組でなくてはいけなかったのです。
とはいえ、ぱっと考えても2枚組はすべてのことが倍なので、その考えをいざ口に出した時には、色々な反対(!)もありました。
けれど、なんだかよくわかんないけどどうもやっぱり2枚組だ、タイトルも決めてしまっている。
ここでこれをやっておかなければ、なんとなく私は次へ進めない気がしていたのです。
うーん、そんな大げさなことじゃなく、ただ単純に、7年もぼやっとしちゃったし、やるならガーッといこう、とこっそり思っていたことを形にすると2枚組になっちゃったのです。
CDが売れないといわれるこの時代、売れぬなら、いっそ押し付けていこうじゃないかホトトギス、というような、謎の反骨精神のような気持ちもあったかもしれません。

しかしながら、決めてしまったはいいけれど、これを作るにあたっては、現在、ほんとにまわりのいろんな人たちにも無理やワガママを聞いていただいている状況で、場合によっては進めば進むほどまわりの人たちに多大な迷惑をかけてるような気がしなくもありません。

しかしもう、だからこそ、後戻りはできない。
なんとしてもいいのを作って、たくさんの人に聴いてもらえるようにしなければ、ご尽力いただいているみなさんに申し訳が立たないのであります。
7年に渡るユルい助走からすっ飛んで、どうか今こそ、私の長年培ってきた「でたらめ力」とでもいいましょうか、「何だかよくわからないけども、ある種の確固たる確信に突き動かされる瞬発力」が発揮されますように。
万一その確信がまちがっていたとしても、それはそれで大笑いできますように。
そしてそれができればたくさんの人々の暮らしの後ろで、苦く、可笑しく、軽やかに聴こえていられますように。

そんなアルバム『蟻と梨』のことを、少しずつご紹介していきたいと思います。
まずは『ガッタントンリズム』のご紹介。
このアルバムから、演奏はすべて『加藤千晶とガッタントンリズム』でありまして、アルバムで、ライヴで、その時々で一緒に演奏してくださる方々はみな『ガッタントンリズム』のメンバーです。
錚々たる顔ぶれです。

15年前に1st『ドロップ横丁』を作った時に初めてお会いして以来、長くお世話になっている我らが関島岳郎さん。
ライヴで色々とやってみたい編成を考えていた頃から参加してくれて、今ではかれこれ十年近く、その類い稀な、寄り添い一緒に踊り、歌うようなリズムに支えてもらっている高橋(けっちゃん)結子さん。
当初は無理矢理お願いしてウッドベースを弾いてもらいながら、さらに毎回エスカレートしつつある私のワガママ、あるいは謎のコード、理不尽なベースラインにも、ブイブイの凄腕でつきあってくださる河瀬英樹さん。
アコーディオン界の若きホープ、目をみはるような勢いで輝きを増している熊坂(るっちゃん)るつこちゃん。
そして、どこにいてもどうしていても、演奏になぜこんなにユーモアがあるのか、そのあまりにも脱帽なセンスと演奏ゆえ、あきらめない私に無理矢理引っぱりこまれてしまった(笑)中尾勘二さん。
そんな中尾さんと同様、この数年、お茶目でおてんばで時にやさしく時にたくましいクラリネットやサックスで楽曲やライヴに新たな風を吹き込んでくださっている、多田葉子さん。
私が何度弟子入りをお願いしても弟子にしてもらえないので、勝手に永遠のライバルに変更させてもらった、ブラウンノーズのお二人。
そして、ギター、エンジニア、共同プロデュースの百人力、鳥羽修。

そこへゲストのような形で、私が20年近く前、上京する前に名古屋でやっていたインストバンド『ザボンドボン』のメンバー中野明美ちゃん、おなじく元ザボンドボンベーシスト、現在は名古屋の名店『コーヒーカジタ』店主の梶田(かじやん)真二くんも参加してくれています。

こんな豪華で素敵で突拍子もないみなさんとアルバムが作れるなんて、そしてライヴができるなんて、私は本当に幸せです。

こんなメンバーと共に、ガッタントン、ガッタントンと妙なリズムでハネ続ける電車にたくさんのお客さまが乗ってくださるのを楽しみにしています。
どうぞよろしくお願いします。

加藤千晶とガッタントンリズム

関島岳郎<Tuba>
高橋結子<Drums・Percussion>
河瀬英樹<Contrabass>
熊坂るつこ<Accordion>
多田葉子<Clarinet・Sax>
中尾勘二<Trombone・Drums>
ブラウンノーズ<Chorus・Drums・Banjo・Mandoline・Toys>
中野明美<Cornet>
梶田真二<Electric Bass>
鳥羽修<Guitar・Ukelele>
加藤千晶<Vo・Piano・Melodion・Recorder・kazoo・Toys>

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[link:1275] 2012年09月08日(土) 15:37


2012年06月29日(金)『蟻と梨』日記 2 ◆ピアノの巻◆

去年の年末2011年の12月28日。
録音は、ピアノからスタートしました。
普通、この編成でピアノから録音、というのはあり得ないのですが、諸々の事情、都合など合わせるとそこから行くしかない、となり、ともかくピアノから録ることになったわけです。

こうしてはじまったピアノ録音。
今回はどうしても弾きたいピアノがあり、そのピアノのあるクリケットスタジオに、無理をきいていただきお願いすることができました。

そのピアノとは1926年のsteinway。
1926年といえば、敬愛するかこさとし先生が生まれた年です。
私はどうやら1926年生まれが好きなようです。
かこ先生が日本で生まれた同じ年、このピアノはハンブルクあるいはニューヨークの工房で生まれ(ニューヨークかハンブルクかは確証がありません)、某超有名音楽家の手に渡り、それが巡り巡ってクリケットスタジオへ来たとのことでした。

このピアノを初めて弾いたのは何年か前のコマーシャルの録音の時。
ひと弾きしてすっかりこのピアノが好きになってしまいました。
私の作った脱力的メロディを弾いたはずだと思いますが、その脱力メロディさえなぜだか小さく吐息をついてしまうような感じ。
実際に弾きやすいかどうかでいえば、弾き込みが浅くて、すぐによく響くこのピアノは、一言で言えば私にとっては「なかなかむずかしい」のですが、一度弾いたら、もっと弾きたい、このなんともいえない枯れた美しい音色に身を委ねていたい、という気持ちになる不思議なピアノです。
このピアノでとにかく条件の許す限り、録り進もう、ということになりました。
でもなにせ2枚組で、曲がたくさんありますから、このスタートの時点で「おそらく全曲はムリなんじゃないか...」と誰もが思っていたと思います。

そして、やはり全曲はムリでした。
その結果、おそらく録り切れないであろう分の予測をたてて、その分は私の実家のアップライトで録音することになりました。
かたや1926年のスタンウェイ、かたや35年ものではあるけれど私が4歳から練習していて、今は実家にひっそりと鎮座している普通のアップライト。しかも前者はスタジオ、後者はただの部屋です。
しかし、この落差がミラクルを生むことになるのです。
人間、開き直るとなんだかよくわからない幸運を呼ぶことがあるようで、この実家の部屋でのアップライトピアノも、またスタンウェイとはぜんぜん違った味わいで、すごく好みの音に録れたのです。
実家に置きっぱなしではありますが、毎年調律には来てもらい(といっても1年に1回ですが)木自体もいい感じに古くなって音も枯れてきているのでした。
調律師さん曰く、「とてもバランスのとれたいい意味で(?)平均的なピアノ(確かに)」なのだそうで、リアルタイムで弾いていた15年ぐらい前までは鍵盤のタッチとか音もあんまり好きではなかったのだけど、それも35年も経つといい具合になってきていました。
いいぞいいぞ、と調子に乗り、5日ぐらい滞在して、保険も含め10曲録音しました。

そして、その後もクリケットスタジオでの録音をさせていただきましたが、なんといっても日々このアルバムだけやっていればよいというわけではありません。
仕事が入ればそちらの締切を優先したりしたり、勿論スタジオのスケジュールもあったりして、集中的に録音できたわけではなく、結果、延びている間に新曲も増えてしまったりして、当初は22曲のはずでしたが、いつのまにか26曲ほどになってしまったのです。

そしてそれはどこからともない「....アレ?曲増えてない?」とのつぶやきから、「だから結局何曲ナンダヨ!」へと変貌をとげていくのです。
こっそり曲目を増やしていたのですが、さすがに4曲も増えていたり、まだこっそり新曲を出そうとしている現場を見つかったりして「もう新曲禁止」令が出、ふるいにかけられ、結局2曲増の24曲に落ち着いたのでした。
それでも、録音している鳥羽修にはとんでもなく迷惑だったことでしょう。
なにせ、やってもやっても終わらないのです。
そして、この悪夢のような曲数との戦い(笑)は、半年に渡り、マスターができるまで続くのでした。

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[link:1276] 2012年09月08日(土) 15:38


2012年07月18日(水)『蟻と梨』日記 3 ◆けっちゃんの巻◆

録音はピアノを録りつつ、同時に今回、ガッタントンリズムとして演奏をお願いした他のミュージシャンのみなさんも進んでいきました。

ピアノの次に録音をスタートしてもらったのはけっちゃんこと高橋結子さん。
けっちゃんには、もうずいぶん長くドラムでサポートをしてもらっていて、かれこれ10年ほど一緒に演奏しているのですが、ほんとうにいつもびっくりします。
けっちゃんの、丁寧に曲に寄り添い景色を紡いでいくようなプレイ、そして、例によって抽象的な私の曲解説や、意味不明のリクエストを、まるでスポンジが水をしみ込ませるようにすぅっと飲み込み、次の瞬間、見事なまでにその景色を描いてしまう表現力の豊かさ。
一言でいうと、まるで「やわらかい大黒柱」。
風があっちから吹けばこちらへちょっと曲げて、そっちが濡れればそちらへちょっと軒を傾ける、みたいな(実際、そんな家はありませんが・笑)。

大黒柱でありながら、それでいて、逆にお家にすーっと寄り添ってもいて、一緒に建っている。
そんな、なくてはならない存在です。

デモを聴いてもらって、相談するのも

私「ここはねえ、チョキチョキしてほしいんだー。で、自然に、気がつかないうちに変なことになってっちゃう」

けっちゃん「あ!そーか、ハサミか!」

私「うん、じゃ、いってみるね」

けっちゃん「やってみまーす」

とか、

けっちゃん「あ、これ、いま水溜まりに入ってます」

とか。

私「もっとぽくぽく歩いてっちゃってときどき引っ張られて足がもつれる」

とか。

そんな説明の仕方はあんまり他では、というかよっぽどの信頼関係がないとできないのです。
そのあたりの隠れた背景も、楽しんで聴いていただけたら面白いと思います。

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[link:1277] 2012年09月08日(土) 15:38

2003年6月16日までの日記


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