忘れ物はないね?

『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の 中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ

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2008年06月14日(土)熱海に行ったその1

ずいぶん間があいてしまいました。
先週の土日はPちゃんと熱海にいました。
今や恒例になった、年に一度の研修旅行(?)です。去年は伊豆のラスベガス『ハトヤ』、その前は奥多摩バードウォッチングブルーズ、その前は尾道でした。
去年伊東のハトヤに行った折、帰りに乗り換えのために降りた熱海のただならぬ観光地ムードに魅了され、今年は伊豆再び、と熱海に降り立った私たち。
梅雨に入り、東京の週末は8週連続で雨を記録していた中、見事なお天気に恵まれました。まずは腹ごしらえ、とPちゃんが調べ上げてきてくれた名店『わんたんや』へ向かうも行列。『並ぶ』という言葉など辞書にはない私たちはあっさり矛先を変え、お向かいの『レストランスコット』へ。ここも文豪川端康成が通った洋食の老舗で普段は行列のお店らしいのですが、偶然すんなり入ることができました。そこでおいしいドミグラスソースのチキンソテーをいただきました。Pちゃんはポークソテー。どれもすごく丁寧に作ってある上質なお料理で、お昼からごちそう。おいしかった。
それからロープウェイでぶらさがりながら山頂へ行き、『熱海秘宝館)』へ行っちゃう。熱海秘宝館と聞いてなんとなく、昔行った蒲郡ファンタジー館がエッチになった感じか?(あ、ファンタジー館の公式に行けない....)と想像していましたが、想像以上の脱力感と爆笑の波。洋服を着たマネキンの前に立つと照明が切り替わっておっぱいがスケスケになったり、塀の穴をのぞくとマネキンの女湯から『キャー!エッチ!』という声と共に水がアクリル板越しに命中してビックリしたり。『あなたの理想の男性像は?』という占いで、バンダナをまいたサイケなボーイが出たが、あまりの面白さに写真を取り忘れ、その後何度もやるが、タモリやキダタローやジュリーのような人ばかり出て来て結局バンダナボーイはもう出てこなかった。平和だ.....。『ファンタジー館』+東山動物園の遊園地にある『魔法の舘(あ!今見たら魔法の舘はもう無くなってる!『ふしぎたんけんの舘』にリニューアルされている!ショック!)』+『まいっちんぐマチコ先生(知らない人は別に知らなくてもよい)』みたいな。ほんとうに脱力の舘でした。

で、そこを後にして再び駅前に戻りフと『ATAMIX』という駅前ビルディングに入る。と、そこはまさにパラダイスでした。ヴィンテージとは決して呼べない、『ナウ』なまま年月を経てなおショーウィンドウに入れられっぱなしの数々の土産ものやお洋服や謎の品物がフロアいっぱいに広がっています。Pucciの柄に見ようと思えば思えなくもない妙な柄のブラウスやスカーフがどっさり(しかも高い!)その他謎のお土産品や一度見たら忘れられない手作りのお人形とか。デッドストック万歳。一気に盛り上がりました。が、閉店時間が迫っており、宿にもチェックインしなければならず、とりあえずそこをザーッと見て、また明日来ようと誓い旅館へ向かいました。

つづく

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『あなたの理想の男性像は?』

[link:993] 2008年06月15日(日) 22:43


2008年06月15日(日)熱海へ行ったその2

旅館は『連月荘』という、昭和の初期に建てられたらしいこじんまりとしたお宿。古いけどお家は丁寧に丁寧にきれいにされていて、お庭もすごく大事に手入れされていて、でもいわゆる高級旅館の庭園みたいな風じゃない大らかな感じで、すごく落ち着く。いろんな種類のあじさいとかバラが咲いていて梅の木や琵琶の木もあって、縁側に座って足をぶらぶらさせながらぼんやりしたくなった。ほんとのおばあちゃん家みたい。虫はいっぱい寄ってきて夏はつらいかもしれないけど、いろんな季節に来たいなあ。
古い建物とお庭も魅力なんだけど、特筆すべきはごはんのおいしさ。旅館のたいそうなごはんというのは、そりゃあ豪華だけど、ひとつやふたつ見かけ倒しっぽい、一口食べて後はもったいないけど残しちゃう、というお料理もあったりするんだけど、そういう見かけ倒しっていうのが一つもなかった。ひとつひとつが女将さんの手で丁寧に作ってあって、どれも美味しくて、全部平らげてしまいました。特に美味しかったのは米ナスのしぎ焼き。お造り。鮎の塩焼きも。
とにかく、Pちゃんとゆっくりおしゃべりするのもたいそう久しぶりだったので、しゃべる、食べる、しゃべる、しゃべる、食べる、食べる、しゃべる、食べる、食べる、食べる、しゃべる、みたいな具合にどんどんどんどんしゃべって食べた。
そして、お風呂に入ってコトンと寝た。
翌朝も、普段はまだ寝ている時間に起きる。お布団の中で、数種類の鳥が鳴くのを聴いていた。『チュピチュピチュチュチュ』というのや、『チュピピピピピピピ』というのやいろいろいて、奥多摩まで行ったバーダーの力量が問われるところだったが、何ひとつ何の鳥がわからなかった。
鳥をあっさりあきらめ朝ごはんをもりもり。『よくある旅館の朝食』というよりは『お家のいつもより豪華な朝ごはん』のようなこれまた丁寧な朝ごはん。生卵や納豆という型どおりなのじゃなくて、ハムエッグとスナップエンドウのソテー。それに鯵の干物に白いごはんとお味噌汁。おいしい。チェックアウトの時間が近づいて、女将さんとおしゃべりしていたら、お庭の梅の木にたくさん成った青梅をどっさりくださいました。ウレシイ。しかし重イ。しかしウレシイ。女将さんどうもありがとう。お世話になりました。

宿を出て、まず重い荷物を駅にあずけて再び散策。昨日行った熱海駅前のビルディング『ATAMIX』へ。前日からすごく気になっていた『なぎさ500円』という毛糸でできた謎のお人形がどうしてもほしかったのだけど、売り場のショーケースには鍵がかかっており、店員さんがいなくて買えなかった。後から買うことができるように連絡先をカメラに収める。必要以上に舌の出ている犬のマスコットも一応買っておく。
それ以外には特にぐっとくる土産ものは見つからず、パン屋さんの揚げたてドーナツ95円をかじりながら駅前をぶらぶら。珍品ストックバイヤーとしては昨年の伊東で入ったあのお店(店名わからず)にかなうお店は熱海では見つからなかった。伊東は他にもそんなようなお店がたぶん探せばあると思うので、来年は熱海に泊まって伊東をもう一度まわることにしようか、と話し合う。
けども、熱海という観光地は、もらってもいらなそうなお土産をたくさん売っているところも含めて堂々たる観光地のオーラを放っていた。でも、そのオーラごとひなびているところとか、駅前をちょっと離れれば、町の様子は昔からひっそりしていたように静かにあって、その色褪せ具合はぐっとくる。あと2日ぐらいいられたらもっと奥のほうまで散歩できたのになあと名残を惜しみながら帰路についた。


[link:994] 2008年06月17日(火) 00:28


2008年06月17日(火)

名古屋の実家に用があり、熱海の足で寄った。
実家の犬のこりんちゃんは17歳。おばあちゃんは91歳。二人(?)とも昼間はボーっとしているが、食べ物を見るとうれしそうに盛り上がることと、本人は意図せず、すべての会話にオチをつけてくれることは老人も老犬も独特なのか共通している。見ていると面白くてしょうがない。おばあちゃんなどは車椅子に乗ってはいるけども、91歳で背骨の痛いのが治ってかかりつけのお医者さまに驚かれたそう。
これから暑くなるけど、おばあちゃんもこりんちゃんも元気に夏を乗り切ってほしいです。

実家のピアノを久しぶりに弾いた。私が東京に来てからもずっと調律はしてもらっているけど、今回弾いてみたら、今まで弾いていた中で一番弾きやすくなっていてびっくり。
実際に家で弾いていた頃は、鍵盤が固めで、弾くのが苦痛だったこともある。いろんなピアノを弾くし、うっとりするような弾き心地や音のピアノや、その反対に弾くのは一筋縄ではいかないけどなんか憎めなくて好き、というのや色々あるけど、実家のこのピアノがこんなに弾きよく感じたのは初めてで、すごくうれしくなってしまった。

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熱海でどうしても買えなかった『なぎさ500円』(前日の日記参照)。なぜペットボトルに?

[link:995] 2008年06月20日(金) 00:09


2008年06月20日(金)

どろグラの最終回が近づいてきました。いろいろ曲の準備をしたりしています。
お手元にご案内ハガキ、届きましたか。どうぞみなさま来てくださいね。
しばらくぶりに千駄木のウルワシ堂へ。髪型変えたかったの。ボサボサだったから。黒い色にも飽きたし。こんな色にしたのは久しぶり。パーマもかけた。4時間近くいたことになる。スタッフの女の子と夢の話で盛り上がる。彼女は常々夢の中でほっぺたをつねると痛くないというけどそれが本当かどうかやってみたいと思っていたそうで、ある時、本当に夢の中で『あ、今だ!今、ほっぺたをつねるぞ!』と思ってつねることができたそうだ。でも夢の中なのにやっぱり痛くて、『なんだ痛いじゃん!』と思ったらしい。すごい。夢の中でやってみたいと思ってたことを本当に寝ながら実行できるなんてなんてすごいんだ!と感動する。私はいつもまったく脈絡なくつじつまの合わない夢しかみたことがないが、一つだけ自慢できるのは、以前のワンマンで『関島さんと回文対決』をしていた頃、ライブ前にせっぱつまって夢の中で回文を作ったことがあった。『いかん、道頓堀にリボンとうどんかい』というのがそれで、その頃ちょうど阪神タイガースの優勝に大阪が湧いていた時期だったので、無意識に大阪風になっているのがわかる。もちろん起きてすぐメモして発表した。回文対決には負けたけど。

ウルワシ堂の帰りに古書ほうろうにも。宮地さんは非番の日で、山ちゃんさんとカンバラさんとお話しする。買い物は都筑道夫と百聞。

山形のさくらんぼをたくさんいただきました。わーい。毎年いただくこの季節だけのごちそう。さくらんぼ大好き。大好き。

今年は熱海の蓮月荘の女将さんにいただいた梅で『梅シロップ』をつけてみた。梅を洗って一個一個拭いたら、ビニール袋に入れて24時間以上凍らして、それを1:1の氷砂糖と瓶に入れて、ホワイトリカーも少し入れる、という方法にしてみた。10日もしたらもう飲めるらしい。梅酒ほどお酒を入れてないので私にも飲めるはず。

[link:996] 2008年06月20日(金) 23:48


2008年06月20日(金)

今さらながら、世は無常である。今という一瞬は『今』と言っているはなから今ではなくなって、それの連続ともいえることがずっとずっとどんどんどんどん起こって、物や事はどんどんどんどん変わっている。うんうん、変わっているなあ。しかし、そもそも私たちは無常であることなんてとっくに知っているはずなのに、刻々と変わっていくことにいちいち喜んだり悲しんだりびっくりしたり落胆したりしている。そしてそのたびに、こんなことでいちいちくよくよしたりして私っておバカさんね。もっとどーんと構えていられないものかしら、なんて思ったりするのだけど、でもいざ本当に『何が起きても心を穏やかに』なんて静かに言っていられる自分になったりしたら、それはそれでなんかすごくイヤだな、とも思う。その、ちっちゃな波風でいちいちくよくよ悶々としている、そこのところがニンゲンのかわいらしいところなんじゃないの、なんて。
そうそう、そうだ。多いにくよくよしよう。多いに悩み、ちっぽけなことで気のすむまでイジイジしよう。うわの空の時はうわの空でなくなるまでボンヤリすることにしよう。それでそのくよくよやイジイジも刻々と変わってまた喜んで、でもまた悩んで、また怒って、また喜んで、ってなっちゃうんだ、私のことだから。端からみたらぜんぜん忙しそうに見えないだろうけど、私も忙しいなあ。

[link:997] 2008年06月25日(水) 01:08

2003年6月16日までの日記


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