忘れ物はないね?:2012-05-06

『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の 中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ

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2012年05月06日(日)

ああ、またまた更新が滞ってしまいました。
Twitterなどではぼそぼそと途中の様子をつぶやいたりしていますが、今、アルバムを作っています。
前回のアルバム「おせっかいカレンダー」からあれよあれよと月日が過ぎてしまって、7年ぶりのリリースです。

そして、こうやってちゃんと公に文章で書くのは初めてなんだけど、アルバム、2枚組です。
発売やそれに関するライヴのことなんかは、また近く、ちゃんとお知らせできると思いますが、とにかく、今は作っています。
といったところで、アルバムの録音日記などはまた近くアップしていきたいと思っていますが、今日は最近、どこへも行かずにアルバム作りの日々を送る私の、ささやかな楽しみ、ヘブンの話を。

最近は連日帰宅がめっぽう遅く、買い物もままならない日が続いて翌日の朝に食べるものがナイ!ということがよくあり、文字通り「コンビニエンス」なストアに頼る、ということが多くありました。
コンビニの食品はたいそうおいしくなったということとは別次元の問題として、「こんなにも家で料理ができず連日コンビニの食事」ってのはいかがなものか、という思いを日々持ち続けながら過ごしていたそんな中、我らのヘブンはまさに雷雨の中の食堂、暗闇の中の灯と言っても過言ではないほどの威力を発揮したのでした。(ヘブンのことがわからない人は2008年11月24日12月23日の日記をご参照ください。)
話題の塩こうじももちろんレジ横に山積み。
涼しい風が吹き抜けるような桃のジュース、インスタントとは思えない弾力の麺ときゃべつや具が魅力の他ではまったく見た事のない富士宮やきそば、成城石井ルートらしい外国のかわいいお菓子、地方の、これまた地元でしか見られないだろう商店のお菓子やおせんべい、瓶詰めの佃煮、などなど魅力あふれるラインナップで夜中の疲れた私たちを迎えてくれました。


ヘブンはうちからはそれほど近くではないし、スタジオからの通り道でもない。
それよりも近くて便利なコンビニはたくさんあるのだけれど、やっぱりなぜか吸い寄せられるようにヘブンへ行ってしまう。
長時間におよぶ録音のお楽しみである「おやつ」もずいぶんヘブンで仕入れました。
ヘブンに行くと普段あんまり買わないものまでがキラキラと光を放って見えるので、つい5千円ぐらいつかってしまうこともしばしば、うっかりするとまさかの万越えになってしまうこともあるので大変に注意が必要です。
旅先のお土産店で「おいしいと評判のおせんべいや和菓子」を買っている気分になってしまう。
「あ、おいしそう」と思ってカゴに入れるが、よくよく見てみるとおせんべいやお菓子、インスタントのものまでがそれぞれ千円ぐらいしちゃってたりするのです。

しかし、実際には高級品をゴロゴロ売っているくせに、ヘブンにはそういう「ウチは高級品を扱っておりますので」という雰囲気がまったくない。
ヘブンは何を隠そう、○ブン○○ブンの中の、とある一つの店舗なのです。
そして、店中に「おにぎり100円」だの「店長のおすすめ!」だのといった手描きのチラシがビラビラ、ベタベタと貼られているし、現にそのコンビニの普通の商品も普通にたくさん売っています。
その、気のおけないフランクすぎる感じが徹底的に客を油断させるのでしょう。
街灯も少ない畑の中にポツンとある、というのも、まさかそんなとこで成城石井の白トリュフオイルを売っていると思いませんから。
商売のありかたとして見ても、ものすごく感心してしまう。
店長のU田さんはとにかく、自分でいろんな土地に足を運び、自分が「おいしい、仕入れたい」と思ったものを直で仕入れてくるようです。
まさに独自のルートと思われます。
そして、仕入れるばかりじゃなくて、自分がそれを食べてみて飲んでみて思ったことを書いたPOPが商品に必ずついている。
さらに、それをカゴに入れてレジへ行くと、レジのおばちゃんまでが「わあ、これ最後の一個、よかったわぁ、買ってくださってありがとうございます。私も食べたけど、ほんとにおいしかったですよぉ〜」なんて、まるでおばちゃん同士の井戸端会議のように言うのです。
アルバイト全員が試食して、商品知識を徹底的に共有しているのならすごいし、あるいはたまたまそのおばちゃんがそれを自分で買ってみて食べただけなのかもしれないけど、それならそれでまたすごい。

そして、先日はまた私たちに大きく謎をなげかける出来事がありました。
最近になってこのコンビニチェーンはおにぎりがリニューアルしたらしいのだけど、ある日ヘブンへ行くと『33年(だったかな?)かけて、やっとおにぎりできあがりました。○ブン○○ブンジャパン』的なうたい文句(正確な文言は失念)のノボリが立っていました。
(ヘブンへ行く前にたくさんそのコンビニチェーンの前を通ったけれど、他の店舗にはどこにもそんなノボリは立っていなかった。)
そして、その横に「こだわりの米農家の人と、そのコンビニのユニフォームを着た、どうみてもおにぎりリニューアルの開発者のような人」の2ショットの写真が大きく引き延ばして貼ってある。
「へぇ〜」と思って通りすぎる時に、その写真に写った人の顔としている名札を見て、『えぇっ?』と。
どうみても店長のU田さんなのだ。
着ているユニフォームの名札にも「○○店店長U田」と書いてある。
これはまるで、U田さんがおにぎりのリニューアルの開発者のようではないか!

ここでいろんな推測が頭をよぎります。
推測1. U田さんが開発したのか?というか、だとしたらU田さんは何者?本部のすごい人?
あるいは.........
推測2. U田さんのことだから、おにぎりがリニューアルされる、との情報を聞きつけ、店舗としてその商品を置くからには、とその米農家の人を勝手に訪ねていき、開発にまつわる苦労話やこだわりの話を聞いてきたのだろうか?
U田さんならやりそうでもある。

気になって次の日もよーーーーく写真を見たけれど、やはり米農家の方とU田さんが腕組をして、『がんばりました!』的な様子で写っています。
あまりにも謎だったので、深夜、帰宅してからネットでこの「おにぎりリニューアル」に関する話題を検索してしまったほどです。
開発者の話、とかで U田さんが登場したりしてないだろうか、と思ったけれど、それは見つからず、今のところ推測2の線が濃いと思っているのですが、未だ謎は残ったままです。
聞いてみる勇気がなかなか出ないのだけど、聞いてみるべきでしょうか。

しかしどちらにしても、 U田さんの行動力と、店作りへの情熱(?)には目をみはるべきものがあり、日々感心し、見習うべきところがあります。
今後もヘブンから目が離せない私です。

[link:1274] 2012年06月08日(金) 21:16

2003年6月16日までの日記


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