忘れ物はないね?:2010-10-05

『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の 中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ

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2010年10月05日(火)札幌にて夢のような3日間

東京で急に寒くなった日の翌日、札幌へ向かいました。
初めてのライヴをするためです。
今回のツアーは、キコキコ商店さんが企画してくださった札幌2days。9月28日は関島さん中尾さんDUOが毎年恒例でやっておられるライヴに私がゲストで参加させていただく、というもの。
そして翌日29日は、このお二人にギターの鳥羽修を加えた4人での加藤千晶ライヴ。
キコキコ商店末木さんのお骨折りのおかげで、長年にわたって念願だった札幌でのライヴがやっと実現しました。
関島さんは栗コーダーのライヴで先に北海道へ入られており、中尾さん、トバオさん、私は27日に札幌へ向かい、キコキコ商店さんで合流しました。
今回の私は、札幌での自分のライヴも初めてでしたが、その前に関島中尾DUOにゲスト参加させていただいて一緒に演奏する、という大イベントがあったのですが、リハは札幌に到着した日(つまりライヴ前日)とライヴ当日のみ、というとってもスリリングな日程でしたので、もうソワソワしっぱなしでした。
けれども、よくよく考えてみれば、そもそもが関島さん中尾さんという、もう何があっても大丈夫なDUOなわけですから、そこでスットコドッコイでアッパッパーな人が一人つまずいたり転んだりしたところで、きっとなにもどうってことはないハズです。
そう考えると一気に気持ちが楽になり、なんだかとても楽しくなってきたのでした。
今回のメニューは、オリジナル曲はもちろん、バルトークや戦前の童謡、オクシタニアのクリスマスキャロルなど、バラエティに富んだもので、なおかつ、私には普段やってみたことのないことにもたくさん挑戦する、というものでした。
楽器は、まずピアノは使わず、キコキコ商店にある足踏みオルガンと、ピアニカ。
関島さんのテューバ、中尾さんのサックス、私のピアニカで演奏したバルトークのルーマニア民俗舞曲集は、不思議な編成だけど、なぜか民俗色が濃くなる感じがしました。
ほかにも、中尾さんが小学校の近くを通った際、「聞き取って曲にした」という「大森東五丁目小学校」や、「くつやのマルチン」、足踏みオルガンで「てぶくろ」「ありそうでない曲」、それから地を削りながら走るような「伝説列車」、「けむり」など、どれもすごく大好きな曲で、一緒に演奏させていただけて本当にうれしかったです。
個人的にはリベンジしたいところも多々あり、またいつかの機会に呼んでいただけることがあるといいなー、と思っています。

そして翌日は私のライヴ。
ちいさなお部屋にドラムセットもデジピも置いてのセットで、場所も音も含め、はじめどうなるんだろ?と思っていましたが、音楽というのはエライもので、どんな「場」であっても、そういう「場」がある限りその「場」にちょうどよい音楽になって鳴るようにできているようです。
もっともそれをコントロールしている演奏者のみなさんがスバラシイのであって、やはりそこは前日同様、もうこれだけの方たちにバックを支えていただいているのだから、私はそこで安心して歌ったり踊ったり走ったり転んだりすればよいだけのことでした。
うれしかったのは、初めて観てくださった方もみなさん楽しそうに終わってからお声をかけてくださり、さらには、何年も待っていてくださった、という方々が「おせっかいカレンダー」を持ってかけつけてくださったこと。
改めて、来年は新しいアルバムを出して、近くも遠くもいろんなところでいろんな人に聴いていただきに参上しなければ、と思いました。

かくして、ライヴは楽しく終わり、夜ごと、楽しい宴が繰り広げられました。
末木さんご夫妻お手製のごちそう、絶品しそペーストをはさんだサンドウィッチ、関島さんからのサプライズの蟹、などどれも忘れがたい味ばかり。
それに加えて、東京ではこんなにゆっくりとごはんやお酒をご一緒するチャンスのない関島さんや中尾さん、末木夫妻、それから、何年ぶりかでお会いすることのできた札幌在住の漫画家、森雅之さんといったみなさんの普段あまり見ることのできない様子を見ることができて、ついついおしゃべりが盛り上がりあっという間に明け方、という毎日でした。
本当に貴重な数日間でした。
最終日にはみなで記念撮影をしました。
「カメラを置きタイマーをセットし、わやわやと並んでシャッターがおりる」という一連の様子も動画に撮ってみたのですが、
ほんの1分ぐらいの映像が2つ、これがまた映画の1シーンのようで、なんだかすごくぐっとくる映像が撮れたのでした。
昔も今も、記念写真を撮るてんやわんやな様子はまったくおんなじなようです。
その記録をこのメンバーでできたのはものすごく幸せで、このとてつもなく短い2本の動画は宝物になりました。
札幌という遠い地でも、こうやって音楽をつむぐことができ、またその音楽に耳を傾けてくれる人がいて、そして手を振って別れたかと思えば、また手紙の返信のようにうれしい言葉を返してくださる。
そしてこれはオマケだけど、偶然札幌の古道具屋さんで出会った白い招き猫ちゃんは遠く離れた東京にやってくることになり、今はうちの棚の上にポテンとすわっている。
こうやって、いろんな人のいろんなモノやコトや気持ちや気温や気配が遠く近くあちらこちらに運ばれて、それが途中でこぼれたりとどまったりしてまたそこから草が生えたり花が咲いたり綿毛が飛んだりして、また知らなかった人と人やモノやコトが偶然につながったりする。
それはもう果てしない気の遠くなるような偶然がつながって、人やモノやコトがつながっているんだなあ!と涙が出そうになります。
こういうコトやモノで毎日は、この世の中はできているんだなあ、と今更ながらに思うのです。
このすべてをぜーんぶを一つ残らず、こぼれても忘れても、残らず携えて行くぞ、と思います。

キコキコ商店に足をお運びくださったみなさま、そして末木さんご夫妻、関島さん、中尾さん、トバオさん、本当にありがとうございました。

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[link:1239] 2010年11月28日(日) 19:15

2003年6月16日までの日記


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